玄米手帖は「心と身体においしい玄米ライフ」がテーマのライスライフマガジン、お米好き編集長の宝達忍が玄米食の魅力をお届けしています。
本日は玄米とは少し離れて、カロリーやPFCバランスを記録していた時に起きた心と身体の変化と、現在の食との向き合い方についてご紹介します。
もくじ
誤解のないように最初に述べますと、この記事はわたしの経験を元にレコーディングには向き不向きがあるということをお伝えするために書いています。
よって、カロリー計算やPFCバランスを記録すること、レコーディングダイエットを否定するつもりは全くありません、実際に効果を実感している方は多いと思います。
「あすけん」や「カロミル」を筆頭に、カロリーやPFCバランスを手軽に計算できるレコーディングアプリはたくさん存在します。
年齢性別身長体重と運動量から「理想の数値」が提示されるため、そこに自分の食生活を当てはめると、こんなに食べていたのか、こんなに偏っていたのか、こんなにカロリーが高いのか…と、数字にすることで新たな発見につながる便利なツールです。
ただし、この数字を活かせるかどうかは人それぞれ、それがレコーディングの怖い所でもあります。
わたしは、血液検査の結果で注意を受けたことをきっかけに、食生活を改善しなければと思い軽い気持ちでレコーディングを始めました。
ダイエット目的よりもバランスを見直すためでしたし、提示されたカロリーもPFCバランスも計算上は無理のない数値でした。
ですが、無理がないはずの「理想の数値」が今までの食生活や嗜好とかけ離れていたため、身体はもちろん心にも無理を強いることになり、結果的に数字に縛られ振り回される2年間を過ごしました。
慣れ親しんだ食生活を変えることで、吉と出るか凶と出るか、凶と出た場合の変化をご紹介します。
わたし自身に圧倒的に足りていなかったのは、タンパク質でした。
鶏肉(四足のお肉は苦手です)や魚介類、卵、豆類など高タンパクと言われるものを、自分比でものすごくたくさん食べてやっと理想の数値に達するという状態。
少ししか食べてこなかった食材を今までの倍以上食べないといけない現状に、毎食ため息を吐きながら食べていました。
プロテインで補おうと試みたこともありましたが、そもそも甘い飲み物やドロっとした飲み物が苦手で、鼻を摘み心を無にしないと飲み込めず、飲む度に罰ゲームのようでした。
タンパク質以外にも、足りていなかった食物繊維や脂質を補うために、オートミールやさつまいもを取り入れ、ヨーグルトや発酵食品、ココナッツオイルやMCTオイルにも手を出しました。
世間一般的に「健康に良いとされる食べ物」全般を試したと思います。
理想の数値を反映したバランスの良い食事をしていたはずですが、食べれば食べるほど、浮腫み、便秘、腹部膨満感で身体がどんどん重たくなり、食べたものが燻り続けている毎日でした。
上手く消化できないからいつまで経ってもお腹が減らない、でも理想の数値に収めるために食べなければいけない。
食べたくないものを、お腹も空いていないのに、食べる。
最初は「健康のため!」と頑張っていましたが、最後の方は口に押し込んでも咀嚼する気力がないくらい無理矢理食べていました。
自分自身の心や身体の声を聞くことよりも数字が最優先、この数字を守っていれば健康になれる、今はしんどいけれど続けていればいつかきっと、そう信じて疑いませんでした。
わたしにとってはデメリットばかりだったレコーディングですが、メリットもありました。
ひたすらカロリー計算し続けていたので、何が何カロリーでPFCはどのくらいなのか大体わかるようになります。
カロリー計算をやめた今でも、脳内で食材パズルをして調整できるので、ストイックに記録し続けた日々は無駄ではなかったと思っています。
また、これまで食べてこなかった食材に挑戦する良い機会だったとも思います。
2年間のレコーディング生活の結果、手に入れたのは健康ではなく、重たく浮腫んだ身体と闇のようなメンタルでした。
レコーディングは一旦やめてみようと決意してから「自分の身体に合う食べ物、量、時間を見つける」までには多少試行錯誤しましたが、現在は玄米をしっかり食べ(食事1回100〜150g)脂質を控えめにした食事に落ち着いています。
⇩玄米を食べ始めるまでの経緯とその後の変化については、こちらの記事に細かく記載しています。
課題だったタンパク質は、レコーディング前よりは意識して食べるようになりましたが、おそらくレコーディングしていた頃の6割程度しか摂取していません。
それでも、人間ドックの結果は時に問題なく、心も身体も軽い毎日を送っています。
レコーディングをやめてから起きた変化は次の3つです。
1日2食の日もあれば3食の日もありますが、次の食事までにお腹が空くよう食事量を調整して、小腹ではなくちゃんとお腹が空いてから食べるようになりました。
シンプルなことですが、お腹が空いているとご飯がおいしいです。
おいしく食べられるようになって、心が満たされたのか無性に何かが食べたい!という変な食欲も無くなりました。
健康に良いと信じて食べていたものは、わたしにとって胃腸を壊すものでした。
身体に合う物を食べるようになって、便秘も腹部膨満感も嘘のようになくなり、浮腫みも消え肌荒れも治りました。
体重も2kgほど減りました、イメージ的には不純物で詰まっていたフィルターが綺麗になり(脂肪が減ると言うより)便や水分が抜けた感じです。
心も身体も悲鳴をあげているのにそれを無視して、理想の数値だけを見ていた2年間。
「これが食べたい、これは嫌」「今食べたい、今じゃない」心と身体の声に耳を傾けて一食一食を大切にするようになりました。
食べ過ぎたなぁと言う日もあれば、外食する日もあります、お菓子やファストフードを食べる日も。
それでも、正しく消化できてスムーズに排泄できる食材を身体が必要としている量食べていれば、健康を害することはありません。
レコーディングは、食に対する欲が希薄だったわたしに食と向き合うためのきっかけを与えてくれたツールだった、今はそう思っています。
⇩現在の食生活についてはこちらの記事で食事記録を公開しています。
2年間を心と身体を壊すことに費やしたのですから、わたしは「数字を活かせなかった人」のお手本です。
もう少し早く軌道修正すれば良いじゃないかと思われても仕方ありません、でも当時のわたしは大真面目に取り組んでいたのです。
そしてその真面目な姿勢こそが、レコーディングに向いていない最大のポイントでした。
食は本当に人それぞれ、方式に当てはめれば答えが出るものではありません、言われた通りにやっているのに結果が出ないと途方に暮れてしまう完璧主義な人には酷なツール、それがレコーディングアプリです。
カロリーオーバーしてしまった、目標数値に達しなかったと、たった1回の失敗で「もうダメだ!」となってしまう人にとっても、前に進めない自分を映し出すだけのツールになってしまいます。
また、元々質素な食事を好む人には、バランスを考えた黄金比のような食事を目指すのはストレスになる場合があります。
一日だけならともかく、食生活全体を底上げしなければならず、食べる量や回数、足りない栄養素を増やすのは簡単なようで難しく、特に胃腸が弱い人には逆効果になる可能性も。
レコーディングが続かない、ストレスになってしまう、そんな人は一度レコーディングアプリを削除してみると、食事が楽しめるようになると思います。
数字はアプリが弾き出した一般的な理想値でしかありません、言われた通りにしても1日で何かが変わることもないので、ゲーム感覚で節制生活を送れるくらいポジティブに記録できる人には、とても有効なツールです。
食べたいものを思い切り食べる日もあれば、きっちり節制する日もある、都度調整しながら食事を楽しめる人がレコーディングをするとより理想に近づけるはずです。
何より「食に興味がある」ことは一番強み、食べ過ぎを防ぎつつ食べたい物を食べることが、食生活において何より大切なことです。
試して取り入れて取捨選択し自分の物にしていく力のある人は、是非数字を活用して新しい発見と健康を手に入れてくださいね。
今スマホを見れば「痩せたいならこれ食べて!」「今すぐやって!やめて!」とか、ちょっと指を動かすだけでいくらでも耳障りの良い情報が流れてきます。
情報を提供している側も悪気はありません、だってその人はその方法で良い結果が出たのだから、そう言っているのです。
この玄米手帖も然り、たまたまわたしが玄米に出会って健康的な生活を送れるようになり、少しでも誰かの参考になればと玄米をおすすめしているだけ、玄米が身体に合わない人もたくさんいるはずです。
健康な状態は人によって違います、例え理想の数値に収まっていなくても毎日調子良く過ごせているのならそれが一番、絶対はありません。
玄米手帖では「自分の身体に合う食べ物、量、時間を見つける」ことで「おいしく食べてスムーズに出す」ことが出来るようになれば心も身体も軽い毎日を送れますよ、食生活が多少乱れても戻る場所が出来ますよ、とお伝えしています。
⇩食生活改善の方法はこちらの記事でご紹介しています。
もしあなたが、理想や数字に囚われて結果が出ずにもがいているのであれば、一度自分自身の心と身体に声に耳を傾けてみてください。
食べなきゃいけないものも、食べてはいけないものもない、答えはSNSの中ではなく、自分の中にあるかもしれません。
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